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Transistor Circuits:カレントミラー回路の基本






LSI、半導体回路、集積回路において、現在では、Bi-CMOSプロセスが中心となり、デジタル、アナログ回路が混在した半導体製品や、IC、集積回路が主流になってきていますが、やはり、バイポーラトランジスタ回路を使った高精度アナログ回路など、NPN、PNPトランジスタを使ったバイポーラ回路は、とても重要です。そのため、ここでは、トランジスタ回路の設計について、基本的な事柄を勉強していきたいと思います。

今回は、カレントミラー回路の基本について簡単にまとめていきます。











Contents:解説1、 カレントミラー回路の基本

今回は、カレントミラー回路について、考えていきます。


電子回路、アナログ、集積回路など、回路を設計していく中で、電流源が複数本欲しい場合は、ありませんか?。

例えば、基板上で回路を組んで実験する場合もそうです。複数の電流源が欲しいのに電流源装置がひとつしかない場合、


あなたならどうしますか?


答えは、カレントミラー回路を構成することにより、電流源装置からの電流を、何本にも分配することです。このような場合に便利な回路が、カレントミラー回路です。
カレントミラー回路とは、 トランジスタや抵抗、コンデンサなどに電流を供給したり、回路に電流を供給したり、バイアスしたいとき、電流を分配、もしくは折り返したいときに使える回路です。ディスクリート素子で構成する場合は、トランジスタのVbeなどペア性が、揃った素子が必要なため、選別を行うなど、特性を合わせる必要がありますが、半導体回路の中では、隣に並べた素子のペア性は非常によいため、各回路に電流を供給したい場合などに、よく使われる非常に重要な回路です。


それでは、早速みていきましょう。

Fig.1 基本カレントミラー回路


Fig.1が、最も基本的なカレントミラー回路です。この回路における入出力の関係は、 入力がIrefで、出力がIoutです。Iref側のトランジスタとIout側のトランジスタサイズが同じで、ペア性が取れている場合、 Iref≒Ioutになります。(厳密には、ベース電流誤差とIout側の電圧依存性があり、ぴったり同じにはなりません、次の項で説明します。
) ではなぜ、Iref≒Ioutになるのでしょうか? 答えは簡単です。

トランジスタの動作をイメージしてください。

左のトランジスタも、右のトランジスタも 同じVbeで動作するようになっている形だからです。トランジスタの基本特性で、Vbeが決定されれば、Vbe-Ic特性より、Icは一定に決まります。同じVbeになれば、同じ電流が流れる。これがポイントです。これがカレントミラー回路の基本的な考え方です。




Contents:解説2、 カレントミラー回路の動作について

では次に、実際のカレントミラー回路の動作について、もう少し詳細にみていきます。


Fig.2 基本カレントミラー回路


この回路を基本的な回路理論で考えてみましょう。この構成から考えると、右側のトランジスタは、エミッタ接地回路構成です。Iref側の左のトランジスタは、Irefにより一定にバイアスされたダイオードです。つまり、左側のダイオードの電圧が、右側のトランジスタの ベース・エミッタ間電圧を決定します。ベースが共通で、エミッタが共にGNDのため、左右のトランジスタのベース電位は、 同じとなり、同じ電流が流れます。


次に考えるのは、トランジスタのサイズです。両方のトランジスタのサイズと特性が同一であれば、 両方のトランジスタのベース・エミッタ間電圧が等しくなるため、 コレクタ電流も等しくなり、Iref=Ioutになります。ただし、厳密には、ベース電流の誤差や、右側のトランジスタの電圧依存性があるため、 誤差が発生します。これについては、別のページで説明します。


以上が、カレントミラー回路の基本的な動作です。実際は、NPNトランジスタだけでなく、PNPトランジスタ、 NchMOS、PchMOSなど、 いろいろな素子で回路を構成することができます。もちろん、左右のトランジスタのサイズを変更すれば 任意の出力電流を得ることが出来ます。








Contents:解説3、カレントミラー回路、その他の応用

次に、トランジスタのサイズを変えたときの例をみてみましょう。以下の表のようになります。

入力電流 左のトランジスタサイズ 右のトランジスタサイズ 出力電流
100uA 1 1 100uA
100uA 1 3 300uA
100uA 1 5 500uA
100uA 2 1 50uA
100uA 10 1 10uA



この表のように入力電流に対して左右のトランジスタサイズを 変更するだけで任意の電流値を作ることができる非常に便利な回路です。更に、このIout側のトランジスタを複数個並べ、複数本のIoutを作ることもできます。


Fig.3 基本カレントミラー回路


<カレントミラー回路の使い方の応用>
1、基準電流に対して大きな電流が欲しいとき
2、基準電流に対して小さな電流が欲しいとき
3、一本の基準電流から複数の電流源が欲しいとき
4、回路に電流を分配したいとき
5、素子に電流を流したいとき
6、電流を折り返したいとき

など・・・

実にさまざまな応用例があります。






Contents:今回のポイント

以上ここでは、カレントミラー回路の動作について考えましたが、この回路は、非常に重要ですので、しっかりイメージしておいてください。カレントミラー回路の動作や計算についても、システムLSIのためのアナログ集積回路設計技術〈上〉が詳しいです。

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作者が過去、トランジスタ回路を勉強する場合に、一番役にたった書籍と、簡単にシミュレーションができるようになった書籍を紹介します。まだ読まれていない方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?






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