では次に、実際のカレントミラー回路の動作について、もう少し詳細にみていきます。
Fig.2 基本カレントミラー回路
この回路を基本的な回路理論で考えてみましょう。この構成から考えると、右側のトランジスタは、エミッタ接地回路構成です。Iref側の左のトランジスタは、Irefにより一定にバイアスされたダイオードです。つまり、左側のダイオードの電圧が、右側のトランジスタの
ベース・エミッタ間電圧を決定します。ベースが共通で、エミッタが共にGNDのため、左右のトランジスタのベース電位は、 同じとなり、同じ電流が流れます。
次に考えるのは、トランジスタのサイズです。両方のトランジスタのサイズと特性が同一であれば、 両方のトランジスタのベース・エミッタ間電圧が等しくなるため、
コレクタ電流も等しくなり、Iref=Ioutになります。ただし、厳密には、ベース電流の誤差や、右側のトランジスタの電圧依存性があるため、 誤差が発生します。これについては、別のページで説明します。
以上が、カレントミラー回路の基本的な動作です。実際は、NPNトランジスタだけでなく、PNPトランジスタ、 NchMOS、PchMOSなど、 いろいろな素子で回路を構成することができます。もちろん、左右のトランジスタのサイズを変更すれば
任意の出力電流を得ることが出来ます。
次に、トランジスタのサイズを変えたときの例をみてみましょう。以下の表のようになります。
入力電流 | 左のトランジスタサイズ | 右のトランジスタサイズ | 出力電流 |
100uA | 1 | 1 | 100uA |
100uA | 1 | 3 | 300uA |
100uA | 1 | 5 | 500uA |
100uA | 2 | 1 | 50uA |
100uA | 10 | 1 | 10uA |
この表のように入力電流に対して左右のトランジスタサイズを 変更するだけで任意の電流値を作ることができる非常に便利な回路です。更に、このIout側のトランジスタを複数個並べ、複数本のIoutを作ることもできます。
Fig.3 基本カレントミラー回路
<カレントミラー回路の使い方の応用>
1、基準電流に対して大きな電流が欲しいとき
2、基準電流に対して小さな電流が欲しいとき
3、一本の基準電流から複数の電流源が欲しいとき
4、回路に電流を分配したいとき
5、素子に電流を流したいとき
6、電流を折り返したいとき
など・・・
実にさまざまな応用例があります。
以上ここでは、カレントミラー回路の動作について考えましたが、この回路は、非常に重要ですので、しっかりイメージしておいてください。カレントミラー回路の動作や計算についても、システムLSIのためのアナログ集積回路設計技術〈上〉が詳しいです。
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