VIN | VOUT |
0v | 電源電圧 |
電源電圧 | Vce(sat)≒0 |
VIN | VOUT |
L | H |
H | L |
次にシミュレーションを使って、簡単な特性をみていきます。
勉強のため、エミッタ接地回路の負荷抵抗を2種類に変えてみてみます。
抵抗の違いによる出力電圧特性の違いは、あるのでしょうか?
1)R1=100Ωの場合
(a)エミッタ接地回路
(b)シミュレーション結果
Fig.2 負荷抵抗が小さい場合
上記Fig.2のR2は、ベース電流を制限するために入れている抵抗です。上記結果より分かることは、Fig.2の場合、負荷抵抗が、100Ωと小さいため、Vin=4.8V付近でもトランジスタが完全に飽和していません。これでは、出力電圧を考えた時に、どこまでがHで、どこでがLかが、はっきりしません。
例えば、VCC=5vで、Vin=5Vの場合、Q1のベース電流は、
Ib=(Vin - Vf)/R2なので、
Ib=(5v-0.7v)/10kΩ=430uA
(Q1がオンするVf=0.7vと仮定)
また、Q1が流せるコレクタ電流のmax値は、
Q1のVce=0とすると、
Ic=(VCC-Vce)/R1 Ic=5v/100Ω=50mA
以上より、Q1の最大コレクタ電流値の場合、
β=Ic/Ib=50mA/430uA=116.3倍となり、
この抵抗値では、βがまだまだ高い領域にある状態となります。
つまり、βが高く、増幅できる状態です。
これは、スイッチとしては、よくない状態です。
2)R1=10kΩの場合
(a)エミッタ接地回路
(b)シミュレーション結果
Fig.3 負荷抵抗がある程度大きい場合
上記Fig.3のR2は、ベース電流を制限するために入れている抵抗です。Fig.3の場合、Vbe=0.8V程度で飽和しているので、切り替わり電圧付近以外は、Hか、Lかが、はっきり分かれています。
この場合、例えば、VCC=5vで、Vin=5Vの場合、
Q1のベース電流は、
Ib=(Vin - Vf)/R2なので、
Ib=(5v-0.7v)/10kΩ=430uA
(Q1がオンするVf=0.7vと仮定)
また、Q1が流せるコレクタ電流のmax値は、
Q1のVce=0とすると、
Ic=(VCC-Vce)/R1 Ic=5v/10kΩ=500uA
以上より、Q1の最大コレクタ電流値の場合、
β=Ic/Ib=500uA/430uA=1.16倍となり、
この抵抗値では、βが十分低い状態になっており、
Q1が十分飽和している状態と考えられます。
これは、スイッチとして使える状態です。
以上より、スイッチ回路を用いる場合は、負荷がある程度大きな値でなければ、トランジスタを十分飽和させることができず、きちんとH、Lが出せなくなるので、注意が必要です。これは、負荷抵抗でコレクタ電流が決定され、それにより、βも変化するためです。実際使用するトランジスタの特性にもよりますが、トランジスタを飽和させるためには、通常βを最低10もしくは5以下に設定すればよいと考えます。
(2以下など、十分小さくても問題ありませんが、消費電流等は考慮が必要です)
以上、ここでは、エミッタ接地回路を反転スイッチとして使う方法を考えましたが、一番重要なことは、トランジスタがオンしたときに、必ず飽和している状態にするということです。この回路は、よく用いられる回路ですので、イメージをつかんでおいてください。
次のページ、エミッタ接地9に進む
戻る
このサイトの内容は趣味で勉強してきたことを応用し、綴っているページです。一般的なことを書いているつもりであり、広告などございますが、あくまで趣味で作っているサイトです。また、特許や商標などは十分調査できていません。また、そういった権利を侵害するつもりもございませんので、万が一そういった場合は削除させていただきますので連絡いただきたいです。また、本ページの内容は実際の動作などを保証するものではございません。使っているツールなども趣味の範囲で使っているため、商用などで利用する場合は注意していただきたいです。また、参考文献などはリンクで表示させていただいております。上記内容につきましては、あらかじめご了承ください。
作者が過去、トランジスタ回路を勉強する場合に、一番役にたった書籍と、簡単にシミュレーションができるようになった書籍を紹介します。まだ読まれていない方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか? |