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Transistor Circuits:エミッタ接地回路の基本6

LSI、半導体回路、集積回路において、現在では、Bi-CMOSプロセスが中心となり、デジタル、アナログ回路が混在した半導体製品や、IC、集積回路が主流になってきていますが、やはり、バイポーラトランジスタ回路を使った高精度アナログ回路など、NPN、PNPトランジスタを使ったバイポーラ回路は、とても重要です。そのため、ここでは、トランジスタ回路の、設計について、基本的な事柄を勉強していきたいと思います。

今回は、トランジスタの各電流に関して、基本的な内容をまとめていきます。










Contents:解説1、 トランジスタの各電流の関係について

トランジスタの各電流について考えていきます。トランジスタは、3端子で構成されており、それぞれ、ベース、コレクタ、エミッタ端子です。


(A) NPNトランジスタ       



(B)PNPトランジスタ        
Fig.1 基本トランジスタ素子記号


これらに流れる電流の関係について整理していきます。
以下の電流の式が重要です。

<重要な関係式>
Ib+Ic=Ie 
Ib×β=Ic(Ib×hFE=Ic)
Ie=Is・exp(Vbe/VT)
Vbe=Vt・ln(Ie/nIs)




Contents:解説2、 エミッタ電流、コレクタ電流について

次に、エミッタ電流について考えてみます。ある回路を設計するときに、エミッタ電流、コレクタ電流をいくらに設定すればよいでしょうか? エミッタ電流の設定方法は、色々なパターンが存在します。いくつか書いてみると、

●回路全体の回路電流が仕様で決定されてときは、それに合わせた電流値で設計する。
⇒ただし、その場合、その電流値で特性が取れる素子選定が必要。

●素子のリーク電流より十分大きな値で設計する。
⇒過電圧印加時、高温時など、素子のリーク電流がある場合は、その影響を受けるため、素子リークより十分大きな電流値に設定し、その影響を少なくすることが重要です。

●そのプロセス、素子に応じて、hFEのばらつきが平らなところに設定する。
⇒ばらつきの影響を減らすため。

●そのプロセス、素子に応じて、hFEが十分高くとれる電流値にする。
⇒その素子の能力を活かすため。

●そのプロセス、素子に応じて、トランジスタの周波数特性が最大となる電流にする。
⇒その素子の能力を活かすため。

などです。これ以外にもあるかもしれませんが、重要なことは、使用するプロセス、素子の特性から、今設計しようとしている回路で、何が重要か?何を要求仕様とされているのかを考えて、値を決定していくとよいでしょう。








Contents:解説3、 各種パラメータの特徴と注意点

次に考えてみたいのは、以下のパラメーターです。

パラメータ 特徴など
hFE トランジスタは、エミッタ電流、コレクタ電流が微少電流領域および、大電流領域では、一般的にhFEが下がる傾向があるため、使用する素子のhFEとエミッタ電流や、コレクタ電流の関係データを確認し、hFEが十分高くなる電流値を設定することが重要です。もちろん電流がばらついても、hFEが大きく変化しない電流値に設定することも重要です。

なぜなら、例えば、コンパレータ回路など、差動対回路の入力電流は、PNPトランジスタなどのベースにつながることが多く、ここから流出するベース電流は、hFEで電流が決まるからです。結果、このベース電流のばらつきの要因になります。また、回路によっては、hFE特性により、ゲインや、増幅率などが変化する場合のあるため、素子ばらつきや、温度特性の影響を受けにくいポイントに選定することが重要です。(一番よいのは、これらのパラメータに左右されない回路設計です。)

fT トランジスタのエミッタ電流と、使用できる限界周波数fT(カットオフ周波数特性)との関係は、微少電流領域や大電流領域では一般的にfTが下がってくる傾向があるため、周波数特性を伸ばしたい用途で回路を設計する場合は、この電流値の選定も重要です。使用したい素子の、エミッタ電流や、コレクタ電流とfTの関係のデータも確認することが重要です。

素子の周波数特性で制限されてしまえば、回路でいくら工夫をしても、周波数特性を伸ばすことは、難しいからです。




Contents:今回のポイント

以上、ここでは、トランジスタ回路を用いる上での重要な電流と、関係するパラメータについて考えましたが、やはり重要なのは、求められている要求仕様に対して、使用する素子選定、また使用する電流値を決定していくことが重要です。


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