次に考えてみたいのは、どのようにしてバイアスするかです。実際のトランジスタ回路のバイアス方法について考えてみます。最も簡単なバイアス回路は、抵抗分割です。次の回路を例にとって、バイアス電圧や、電流の決定方法を考えてみます。
電源電圧=5V、Z1=Z2=10kΩ、Z3=25kΩ、Z4=18kΩ
Fig.4 エミッタ接地回路のバイアス例
上記Fig.4の回路を考えます。ここでは、簡単のため、トランジスタのベース・エミッタ間電圧を 0.7Vに近似して考えます。DC特性を計算する場合、このように、
ベース・エミッタ間電圧を0.6〜0.7Vに近似すると計算しやすいです。
1、抵抗分割によるトランジスタのバイアス電位の計算
上記回路より、Z1とZ2の抵抗分割なので、
VIN=電源電圧×Z2/(Z1+Z2)=5v÷10kΩ/(10kΩ+10kΩ)=2.5V
2、エミッタ電流(≒コレクタ電流)の計算
エミッタ電圧は、VINからトランジスタのベース・エミッタ間電圧が、
下がった電圧なので、
Ve=VIN-Vbe=2.5V-0.7V=1.8V
以上より、エミッタ電流は、Ve/Z4=1.8V/18kΩ=100uA
3、出力電圧の計算
出力電圧VOUTは、電源電圧からコレクタ電流とZ3の電圧降下を引いたものなので、
VOUT=電源電圧-(Z3×Ic)=5-(25kΩ×100uA)=2.5V
以上の簡単な計算で、各ポイントにおけるDCバイアス電圧の計算ができました。上記では、エミッタ側に抵抗を入れ、エミッタ電流を決定することにより、出力電圧を決定しましたが、実際に設計する場合は、この方法が楽です。任意に回路を設計したい場合は、上記手順を参考に、逆算を行うと、
各抵抗値や電流値を決定することができます。
以上ここでは、エミッタ接地回路のバイアス特性について考えましたが、特に計算する上で、トランジスタのVbeを0.6Vや0.7Vとおくことにより、オームの法則を使った簡単な計算で、各電位が求まるようになります。いろいろな回路で計算し、イメージをつかんでおいてください。
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作者が過去、トランジスタ回路を勉強する場合に、一番役にたった書籍をいくつか紹介します。まだ読まれていない方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?