(a)エミッタ接地回路
(b)入出力電圧特性
Fig.2 エミッタ接地回路基本特性
次に、上記状態の(1)と(3)の状態を考えます。
下記の表に、それぞれを簡単にまとめると、
例えば、電源電圧=5Vとします。
VIN | 出力電圧 |
0V付近 | VOUT=電源電圧=5V |
電源電圧付近=5V | VOUT=Vsat(飽和状態) =ほぼ0V付近 |
ここから分かることは、VIN=0Vで出力が5V、VIN=5Vで出力が0V付近 つまり、入力信号を反転した信号が得られるということです。欲しい信号を簡単に反転させたい場合に使えます。
以上より、極端に入力電圧が高い、もしくは、低い状態にした場合、 エミッタ接地回路は、反転の論理回路として使うことができます。
<参考>
ハイ、ローとは ロジック回路など、デジタル回路では、信号を0か1、もしくは、HかLという表現で、話をします。これは、電圧があるものをHigh(ハイ)、無いものをLow(ロー)、
という状態で考えたもので、例えば上記の場合、5Vをある=H、0V付近をない=Lと 考えることができます。基本的には、ある基準となる電圧より、高いか、低いかで、
あるないを判断します。次段の回路の切り替わり電圧に対して、高いか、 低いかで判断することが多いです。
上記回路を今度は、シミュレーションを使ってみていきましょう。
(a)エミッタ接地回路
(b)入出力電圧特性
Fig.3 エミッタ接地回路基本特性シミュレーション
各回路の要素部品の役割を以下に示します。
部品 | 役割 |
V1 | 入力電圧 |
V3 | 回路の電源電圧(5V) |
R1 | ベース電流制限用抵抗(10kΩ) ⇒トランジスタのベース端子に直接電源を与えた場合、過大なベース電流が流れる恐れがあるため、それを制限します。この回路の場合ベース端子に5V印加した時、 5v(入力電圧)-約0.7v(Vbe) ÷10kΩ(制限抵抗)=430uAに制限できます。 |
R2 | トランジスタの負荷抵抗(20kΩ) ⇒コレクタ電流を 出力電圧の変化に変換する抵抗です。 |
この回路でVinの電源、V1を0Vから5Vまでスイープしていった時の出力電圧を、確認してみましょう。Fig.3(b)にSim結果を示します。
(a)エミッタ接地回路
(b)入出力電圧特性
Fig.3 エミッタ接地回路基本特性シミュレーション
1)VINの低いところのVout電圧は、抵抗でプルアップされているだけなので、ほぼ電源電圧と等しくなっています。
2)入力電圧VINが約0.6V付近からVoutは、5Vからほぼ0V付近まで一気に低下していますが、これは、コレクタ電流が流れ始め、Vinの上昇とともに、コレクタ電流が増えていくからです。
例えば、今回の場合、負荷抵抗R2=20kΩなので
5v(電源電圧:V3) ÷20kΩ(R2)=250uAとなります。
コレクタ電流が仮に250μA流れただけでVout電圧はほぼ0V付近まで低下します。
詳細は、別のページで説明しますが、トランジスタの飽和電圧の特性により0Vにはならず、 使用するデバイス素子の特性により決まるVce(sat)電圧になります。(Vce(sat)とはコレクタ・エミッタ間電圧のsaturation(飽和)の時の電圧を示します。)
以上よりVINが約0.7V付近より高い領域では、 Vout電圧はほぼGNDレベルになっています。
以上、ここでは、エミッタ接地回路のDC特性を示しながら動作を見てきました。
この特性が一番基本で、一番重要な特性ですので、イメージをつかんでおいてください。
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