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Comparator Circuits:コンパレータ設計手順の例2

                     

どうでしたでしょうか?素敵な回路が思いつきましたか?
では、もう一度要求仕様を挙げてみます。


<要求仕様>
コンパレータ回路の電源電圧1.8V
入力信号を基準電圧0.1Vで比較したい
(ただし、入力信号は0〜0.2vのパルス信号とする。)
コンパレータ回路の出力部は1.8V電源
ただし、出力電圧はHを1.3V以上、Lを0.5V以下で出力したい。

簡単のために、コンパレータの速度、オフセットは問わない
また、抵抗や電流値など、定数はお任せします。動く定数であれば何でもいいです。
これが満たせる形式の回路を設計してください。

NPNトランジスタ2個以内 PNPトランジスタ2個以内
(ただし定電流回路はいくつ使ってもよし)
抵抗3本以内 出力はエミッタ接地で出力せよ!!という条件。



これを波形で表すと

Fig.1 例1の要求仕様


例えば上記仕様を満たす回路は、 何通りもの回路で実現できます。つまり、答えは1つではありません。では、このあと作者が考える場合で、この仕様を満たす 最も簡単な形式と手順を説明してみましょう。











Contents:仕様を満たす簡単なコンパレータ回路設計例2


<作者流の考え方の例>
コンパレータ回路の電源電圧が1.8Vなので この回路を簡単に実現するためには1.8V以上の素子耐圧がある トランジスタを選択します。



入力信号を基準電圧0.1Vで比較する必要があるので、
回路の入力部は差動対を選択します。



また、入力信号が0v〜0.2vまで振れるので、 入力差動対の動作範囲は0v〜0.2vまでは最低限必要です。つまり、電源電圧1.8vに対し、入力信号は0vから動く ここがポイントです。というわけで、 差動対はPNPトランジスタを使ったダーリントン構成を 選択したいところです。でも、今回は条件として PNPトランジスタ2個以内があるため ダーリントン形式は使えません。それだけで4個PNPを使ってしまうからです。

では、PNPシングルの差動対で0から動く構成を考えます。



例えば、PNP差動対をシングルにして抵抗で受ける形を選択します。これで差動対、入力段は決定しました。今のところ使った素子は PNPトランジスタ2個 抵抗1本です。
(差動対入力側は抵抗が無い形式にします。)

あと使える素子は NPNトランジスタ2個以内 抵抗2本以内です。出力段はエミッタ接地にせよという条件があったので 差動対の負荷抵抗をNPNトランジスタのベースで受け、 抵抗プルアップしたエミッタ接地にします。以上で完成です。

抵抗値や電流値は、その回路の許容回路電流値と 素子能力で決定していきます。


以上の考え方で組み立てた簡単な回路例は次のようになります。
(スピードなど、難しいことは考えていないので定数は任意の定数です。)


Fig.2 設計した回路例


NPNトランジスタ2個以内に対し1個 。
PNPトランジスタ2個以内に対し2個。
抵抗3本以内に対し2本 以上より要求は満たしました。


次にこの回路が要求仕様を満たすかシミュレーションで確認してみましょう。ただし、切り替わりが分かりやすいように入力0-0.2vパルスの立ち上がりと 立下りは若干なまらせています。


Fig.3 設計した回路のシミュレーション結果




Fig.4 要求仕様特性


Fig.3とFig.4を比較すると要求仕様を満たしていることが分かります。

以上、簡単な例を使って回路設計手順を考えてみましたが これ以外にもさまざまな方法で実現出来ますので、皆さんいろいろな形式を考えてみてください。



前回に続き、今回も、この手順を読んで分かると思いますが、 設計する場合、重要なのは、 如何に基本コンポーネントを理解し、使えるかということです。また、自分の中で、回路の引き出しを如何に多く持っているかということです。









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