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Transistor Circuitsベース接地回路の基本

                     


LSI、半導体回路、集積回路において、現在では、Bi-CMOSプロセスが中心となり、デジタル、アナログ回路が混在した半導体製品や、IC、集積回路が主流になってきていますが、やはり、バイポーラトランジスタ回路を使った高精度アナログ回路など、NPN、PNPトランジスタを使ったバイポーラ回路は、とても重要です。そのため、ここでは、トランジスタ回路の、設計について、基本的な事柄を勉強していきたいと思います。

今回は、ベース接地回路の例を示し、基本的な内容をまとめていきます。







































Contents:解説1、 ベース接地回路の基本


今回は、ベース接地回路について考えていきます。



Fig.1 ベース接地回路


Fig.1に、ベース接地回路の例を示します。ベース接地回路は、エミッタ側から信号を入力し、コレクタ側から出力を取る形式です。

主な特徴としては、ゲインが高く、入力インピーダンスが低く、出力インピーダンスが高いことです。また、後ほど説明しますが、エミッタ接地回路に比べて、増幅段のミラー効果が小さいのが特徴です。

使用用途としては、カスコード接続し、オペアンプやレギュレータの増幅段、電圧をクランプしながら増幅する回路などに使えます。

ではここで、ベース接地回路の主な特徴を整理しておきましょう。

ベース接地回路の特徴
ゲインは、エミッタ接地と同等、もしくは以上(形式による)、ただし入出力は反転しない
ベース端子が基準電圧等、AC接地なので、入力インピーダンスが低い(≒1/gm)
エミッタ接地回路等をカスコード接続することにより、周波数特性を改善し、ゲインを上げることができる。
素子をクランプする用途にも使える。








Contents:解説2、 ベース接地回路の動作について

では次に、もう少し詳細をみていきましょう。



Fig.2 ベース接地回路


ベース接地回路の基本的な回路構成をFig.2に示します。入力VINは、トランジスタのエミッタで、出力VOUTは、トランジスタのコレクタ側から取り出します。コレクタ端子には通常、抵抗や定電流回路などが付加されます。今回は、一般化して、Zとおいています。ベース端子がバイアス電圧等にAC接地されているので、ベース接地回路と呼びます。動作は簡単です。ベース端子が、トランジスタがオンできる電圧にバイアスされている場合、 エミッタ側からの電流変化に対して、エミッタ電流=コレクタ電流+ベース電流のため、 コレクタ電流はエミッタ電流に従い、電流が変化します。そのため、エミッタ電流に従い、コレクタ電流が流れ、負荷Zで電圧変換され、出力電圧VOUTがでます。

次に、各パラメータについてみてみます。
●入力インピーダンス ベース端子がAC的に接地されている状態でエミッタ側から見たインピーダンスになるので、 等価的には、ほぼ1/gmという値になります。
すなわち、入力インピーダンスは、低いです。

●出力インピーダンス コレクタ端子側からみた出力インピーダンスは、エミッタ側に回路がつながるので、 エミッタ接地回路のエミッタ側に抵抗がある場合と同様、非常に高い傾向です。

●入出力ゲイン エミッタ入力からコレクタ出力をみた場合、電流ゲインは約1倍です。
ただし、コレクタの電流変化量とコレクタ側のインピーダンスにより、 電圧利得はエミッタ接地と同等です。ただし、入力に対し、出力は反転しません。

また、全体的な注意点としては、ベース端子にバイアスするバイアス電圧のAC的なインピーダンスを、 十分下げる必要があるということです。ベース端子に電流が流れた場合、ここのインピーダンスが高いと、 流れる電流とインピーダンスにより電圧降下が発生し、ベース電位が振れてしまう恐れがあります。
















Contents:解説3、 ベース接地回路の動作について


次に、シミュレーションで動作を見てみましょう。


(a)回路図

(b)シミュレーション結果
Fig.3  基本ベース接地回路Sim
(VCC=5V、Vin:0v〜5VでDCSweep)

Fig.3(b)のシミュレーション結果は、横軸がVin電圧、赤色がVOUTです。

この結果より、出力Voutが電源電圧の1/2になるVin電圧は、1.4165Vです。
次に、この電圧をバイアスポイントとして、 Sin波を入力してみます。


(a)回路図

(b)シミュレーション結果
Fig.4  基本ベース接地回路Sim
(VCC=5V、Vinにsin波入力)


Fig.4から分かるように、入力信号と出力信号が同相になっています。これは、エミッタ電流の変化がそのままコレクタ電流の変化になり、Voutを出力するためです。

ここで、ゲインを計算してみます。
V1=1.4165V、V2=2Vの時、Ic=125uA VA=100とします。
Gain = gm1×(R2//ro1)
   =(125u/0.026)×[20k//(100/125u)]
   =4.8m×19.5k
   =93.6倍

Fig.4のSim結果では入力が1mV振幅Sim波で出力が約93.8mVに増幅されており、ほぼ計算通りです。

<覚えていて使える基本的な事柄:応用編>  
通常増幅器は、
回路と回路を接続する場合、低いインピーダンスで出力し、高いインピーダンスで受ける必要があると一般には、言われていますが、この理由は、例えば回路1と回路2を接続する場合、例えば後段の回路の入力インピーダンスZi、前段の回路の出力インピーダンスZoとすると、その接続されたA点の電圧はVo =Vi×Zi/(Zi+Zo)となるため、上記関係が 成り立たなければA点の電圧は抵抗分割されVoとして減衰してしますからです。従って上記鉄則が一般に言われます。ところがベース接地はその理論を逆行しています。こんなの回路はどこで使えるのか?という疑問が生じます。ところが入力インピーダンスを下げることが良い場合があるのです。


例えばエミッタ接地回路ではミラー効果が必ず存在し、入力から見たインピーダンスはベース・コレクタ間の容量が(1+Av)倍された値になります。ここでこのミラー容量はベース・コレクタのゲイン倍された値というのがポイントです。つまり、エミッタ接地回路のゲインが低ければミラー容量は小さくなります。そこで、このベース接地回路が登場するわけですが、エミッタ接地回路の出力をベース接地の入力に接続すれば、ベース接地の入力インピーダンスが低いため、エミッタ接地回路の出力インピーダンスは下がり、それによりゲインが下がるため、ミラー容量を下げることが出来るのです。


以上の理由から、ミラー容量の効果を低減できるため、周波数特性を伸ばすことが出来るということになります。つまり、ベース接地の最大の応用は
周波数特性を改善できることなのです。これはエミッタ接地回路とベース接地回路をカスコード接続することによって実現できます。一般のオペアンプの入力段等でよく使われています。

Contents:今回のポイント

以上今回は、ベース接地回路の基礎について簡単にまとめてみました。この回路は、エミッタ接地回路や、エミッタフォロアほど使用頻度は高くないかもしれませんが、オペアンプ回路の増幅段や、クランプ回路などで用いられますので、しっかりイメージできるようにしましょう。
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