本文へスキップ

アナログ回路を勉強する回路設計のホームページ:http://kaironohanashi.main.jp/index.htmlです。

Transistor Circuits:カスコード接続回路の基本

LSI、半導体回路、集積回路において、現在では、Bi-CMOSプロセスが中心となり、デジタル、アナログ回路が混在した半導体製品や、IC、集積回路が主流になってきていますが、やはり、バイポーラトランジスタ回路を使った高精度アナログ回路など、NPN、PNPトランジスタを使ったバイポーラ回路は、とても重要です。そのため、ここでは、トランジスタ回路の、設計について、基本的な事柄を勉強していきたいと思います。

今回は、カスコード接続回路について考えてみたいと思います。










Contents:解説1、 カスコード接続回路の基本



Fig.1 カスコード回路の基本形


Fig.1は最も簡単なカスコード回路で、Zは一般的な負荷を付けています。この回路の構成としては、エミッタ接地回路の負荷にベース接地回路がつながる構成です。Q2のベースはAC的に接地されており、Q2をバイアスしています。Q1のエミッタ接地回路は、Vin電圧をgmVinでQ2のエミッタ電流に変換します。このQ2のエミッタ電流はQ2のコレクタ電流となり、負荷Zで出力電圧に変換されます。


カスコード回路は主に3種類の使い方があります。
 

用途

内容

高利得増幅器

gmはそのままで出力インピーダンスのみ増強した増幅器

高周波回路

Q1のミラー効果がなく周波数特性が向上する増幅器

定電流回路

電源電圧の変動を抑えたカレントミラー





Contents:解説2、 カスコード接続回路のメリット

ここでこの回路のメリットを以下にまとめます。

Q1のミラー効果がない
Q1のミラー効果は、Q1単体で考えたとき、ベース・コレクタ間の容量がQ1のゲイン倍されますが、Q1のコレクタ負荷はベース接地トランジスタQ2のエミッタとなる為、Q1のベースからQ1のコレクタ(Q2のエミッタ)への電圧ゲインはgm1×1/gm2となり約1なのです。このお陰でミラー効果は激減するのです。

Q2のコレクタからQ1側を見たインピーダンスが高い
Q2はベース接地回路です。Q2のコレクタ側からQ1側を見たインピーダンスはroが約β倍された値になり、Q2のコレクタ側から見たインピーダンスは増大します









Contents:解説3、カスコード接続回路の欠点

ここまでの解説では、周波数特性もよく高利得で言うことなしの回路に思えますが、 実際この回路にも欠点があります。それは、カスコード(縦積み)しているため、VoutのL電圧が高くなるのと、リニア動作を行う動作範囲が狭いのです。電源電圧が十分大きな値の回路では問題はないのですが、低電圧動作になるとかなり不利です。




Contents:今回のポイント

以上、今回は、カスコード接続回路に関して、考えてみましたが、注意点をまとめると、以下のようになります。

1、出力L電圧やリニア動作範囲に注意する。
2、Vbias電圧はいかなる状態においてもQ1を飽和させない。
3、カスコード接続をカレントミラーに応用すると電源電圧依存性を激減出来る。

戻る





このサイトの内容は趣味で勉強してきたことを応用し、綴っているページです。一般的なことを書いているつもりであり、広告などございますが、あくまで趣味で作っているサイトです。また、特許や商標などは十分調査できていません。また、そういった権利を侵害するつもりもございませんので、万が一そういった場合は削除させていただきますので連絡いただきたいです。また、本ページの内容は実際の動作などを保証するものではございません。使っているツールなども趣味の範囲で使っているため、商用などで利用する場合は注意していただきたいです。また、参考文献などはリンクで表示させていただいております。上記内容につきましては、あらかじめご了承ください。





作者が過去、トランジスタ回路を勉強する場合に、一番役にたった書籍と、簡単にシミュレーションができるようになった書籍を紹介します。まだ読まれていない方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?






オススメ書籍ランキング













copyright©2006-2019 A story of Circuits  all rights reserved.