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First Order CR pulse response:1次CR回路のパルス応答

                     
最も簡単な、1次CR回路のパルス応答について考えてみたいと思います。

例えば、パルス信号のノイズ除去用に1次CR回路でローパスフィルタを構成した場合、入力する信号に対し、RCの時定数をどの程度にすればよいかを見積もることもできます。ノイズを落としたいばかりに、時定数を大きく設計しすぎると、信号がなまり過ぎ、アプリケーション的に問題になるかもしれません。その場合、アプリケーション的に問題のないレベルで時定数を設計し、ノイズだけを除去したいところです。そのためにも、フィルタ回路など、パルス応答を簡単に見積もれるようになりたいところです。また、このパルス応答の考え方はフィルタ回路だけでなく、コンパレータの応答速度や、オペアンプの応答速度、PLL回路の過渡応答にも応用できる技術です。

まずは1次CR回路のパルス応答から勉強していきましょう。1次CR回路の伝達特性の復習からはじめます。そのあと、実際のパルス応答がどうなるかについて考えていきます。本ページを読めば、一見難しそうに思えるパルス応答も簡単な式で表せるようになるでしょう。










Contents:解説1、1次CR回路の伝達関数、特性





Fig.1 基本CR回路


<解説>
まずは、CR回路の周波数特性から復習していきます。入出力の伝達特性を計算し、そこからゲインと位相をボード線図に表します。



別のページでの説明から、本伝達関数のゲインは1倍で、カットオフ周波数fp=1/2πCRとすぐに分かります。0.1fpから位相がまわりはじめ、fpで位相は-45°になり、10fpで位相は-90°になる特性です。



Fig.2 周波数特性




Contents:解説2、CR回路のパルス応答の考え方

CR回路のパルス応答 次はCR回路のパルス応答について考えてみましょう。基本的にはラプラス変換を用いて考えていきます。上記伝達特性でjω=sとおきます。



次にラプラス変換の公式より、パルス信号の式は、



CR回路のパルス応答は、フィルタにパルス信号が入力される形なので、
①に②が入力されるとすると



これを整理すると



となります。


これらの計算過程は制御工学演習などが詳しいです。



次にこの式をラプラス逆変換します。
(ただし、F(s)・G(s)=X(t)とおきます)





以上で1次CR回路のパルス応答が計算できました








Contents:解説3、 CR時間応答の簡易表現と時定数について

では次に、解説2で求めた式を使い、実際に使いやすい簡易表現に変換していきます。

<時定数のはなし>
よく用いられる電気用語で時定数:t=CRがありますが、
これはどういった時間を表現するものなのでしょうか?。
まずは、これについて考えてみましょう。



例えば、この式でt=CRのときどうなるかを考えます。
t=CRを代入すると、



これを計算すると、X(CR)=0.632となります。

つまり、出力電圧の63.2%に達する時間が、
時定数:t=CRです。


<その他の簡易応用表現>
上記考え方を使って少し計算してみましょう。

●CR回路出力が10%〜90%になる時間を考えます。
上記式に10%と90%をそれぞれ代入して計算すると、

10%になる時間=2.303CR
90%になる時間=0.1054CR
となり、

10%〜90%になる時間 = 2.303CR - 0.1054CR = 2.2CR となります。
この計算結果より、CR回路にパルス信号を入力したとき、 10%〜90%に達する時間はt=2.2CRで計算できることになります。



Fig.3 CRパルス応答の参考波形





Contents:今回のポイント

今回は、今回は最も簡単な一次CR回路を用いてパルス応答について考えてみました。ある回路の時間応答を求めたいときはまず、伝達関数を計算し、そのあと、入力したい信号のラプラス演算子を掛け、逆ラプラス変換をするだけで計算できそうです。
(ただし、そのためには、ラプラス変換の基礎知識が必要です。)

この考え方は更に複雑な特性を計算するときも応用できますので、いろいろ計算してみてください。また、回路設計時のこのような解析に備えて、制御工学演習や、
ラプラス変換関連の書籍などを一冊手元に置いておくと何かと便利です。

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