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Active filter Circuits:アクティブフィルタ回路

                     
オペアンプを使ったアクティブフィルタはさまざまな場面で使用されます。例えばフィルタ回路として用いる場合、PLL回路のフィルタ、スイッチングレギュレータ、DC/DCのフィルタ、サーボ制御時のフィルタなど応用範囲は広いです。

今回は、オペアンプを使ったアクティブフィルターについて考えてみましょう。










Contents:解説1、 オペアンプの反転増幅器について

まずは、基本的なオペアンプの反転増幅器の復習からです。




Fig.1 基本反転増幅回路


<解説>
オペアンプのオープンループゲインを∞と考えて、
簡単に計算すると Av=Vout/V2= - R1/R2 となります。

上記の場合 Av= - 5k/1k=5倍 ⇒(13.98dB)となります。




Contents:解説2、 オペアンプを使った1次ローパスフィルタ回路

この章の目的はオペアンプを使いフィルタを構成することなので、次にFig.1の反転増幅器に任意の周波数特性を持たせるため、R1と並列にコンデンサを追加します。このように回路にコンデンサを追加すると、周波数特性を持たせることができます。




(A) 回路図



(B) Sim結果
Fig.2 オペアンプを使った1次ローパスフィルタ


<解説>

オペアンプのオープンループゲインを∞と考えて簡単に計算すると

Av=Vout/V2= - [R1//(1/sC1)]/R2         
       = - [R1/sC1)/(R1+1/sC1)]/R2 
       = - R1/R2(sR1C1+1) Av
       = - R1/R2(sR1C1+1)となります。

Avの伝達関数から分かることは 、分母にsR1C1+1が追加された形になり、Fig.1の回路に1次遅れの応答が加わった形になっているということです。

1次のカットオフ周波数はfp1=1/2πR1C1となります。
よく使う一次CR回路と同じカットオフ周波数の式です。

1次CR回路の場合、ゲインは1倍ですが、オペアンプを使った Fig.2の形式ではR1とR2によりゲインを持たせることができます。これがオペアンプを使ったアクティブフィルタの恩恵です。(ただし、弊害もあり、オペアンプの動作周波数、応答速度などに制限される場合もあります。)

上記の場合 Av= - 5k/1k=5倍 ⇒(13.98dB)となり、
fp1=1/2π×5k×0.0033e-6=9.65kHzとなります。。








Contents:解説3、 オペアンプを使った1次ラグ・リードフィルタ回路

次は、Fig.2の回路に更に複雑な周波数特性を持たせてみましょう。
Fig.2の回路に更にR1と並列にCを接続してみます。PLLやDC/DC(スイッチングレギュレータ)でよく見る回路です。



(A) 回路図



(B) Sim結果
Fig.3 オペアンプを使った1次ラグ・リードフィルタ


<解説>
オペアンプのオープンループゲインを∞と考えて簡単に計算します。



だんだん複雑になってきましたが難しく考える必要はありません。この伝達特性から分かることは、ゲイン、ポール、ゼロ、積分特性 があるということです。伝達特性の分母と分子を見れば明らかです。ゲインは計算するまでもなく伝達関数の絶対値をとれば出てきます。また、一番初めの項の1/jωは積分特性を表します。

そして、ポール、ゼロのカットオフ周波数は

fz=1/2πC1R1
fp=1/2πR1(C1//C2) です。



Fig.3 オペアンプを1次ラグ・リードフィルタ


さて、ここで問題です。
fpとfzはどちらが大きいのでしょうか?

fz=1/2πC1R1とfp=1/2πR1(C1//C2)

答えは簡単、 fzとfpの式の違いはC1かC1//C2かです。つまり、 C1とC1//C2を比較したとき、C2がどんなにがんばっても 単品のC1より大きくなることは出来ません。

従ってfz<fpという関係になります。

以上の考察からこの伝達特性の周波数特性は DCゲインが-20dBで下がっていき、途中でfzにより戻りが生じ、そこで ゲインはフラットになり、その後、fpにより遅れが生じ、 -20dBで下がっていく特性であることが分かります。

上記の場合のカットオフ周波数を求めておきましょう。

fz=1/2π×5k×0.33e-6=96.5Hz
fp=1/2π×5k×(0.33e-6//0.0033e-6)=9.75kHz となります。

C1とC2の比率を大きくすることによりfzとfpは離れ、
ゲインがフラットになる周波数帯域は広がります。


<笑い話・・・>
もし誰かが、このフィルタを使っているとき その回路図を見てきちんと設計できているかを 簡単に判別する方法があります。それはC1とC2の大きさを比べることです。フラットな部分はC1とC2の大きさの比で決まるからです。せっかくこのラグ・リードフィルタを使っているのに フラットな部分がほとんどなくては意味がないですよね? でも逆に、何も考えず適当に定数を決めたいときは C1をC2の10倍程度にしておくとよいでしょう。






Contents:今回のポイント

以上、今回は、3つのオペアンプ回路を計算しながら、特長を考えてきましたが ポイントは以下の3点です。

<今回のポイント>

1、オペアンプを使った回路で基本反転アンプの形式のとき

Av=Vout/V2= -Z1/Z2

で簡易的に計算できる。(オープンループゲイン=∞)

2、ある回路に対しその回路に周波数特性の変化を持たせたい場合は、
コンデンサを接続すればよい。(コンデンサのインピーダンスは1/jωCなので、周波数により インピーダンスが変化するため周波数特性を持たせることができるから)

3、ある回路の周波数特性は、伝達関数を計算し、
分母分子、係数をみれば簡単に分かる。


今回はオペアンプを使ったアクティブフィルタの基本的な回路を考えてきましたが、これ以外にもさまざまなバリエーションが 考えられるのでいろいろ試してみてください。

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