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Transistor Circuits:エミッタ接地回路の基本10

LSI、半導体回路、集積回路において、現在では、Bi-CMOSプロセスが中心となり、デジタル、アナログ回路が混在した半導体製品や、IC、集積回路が主流になってきていますが、やはり、バイポーラトランジスタ回路を使った高精度アナログ回路など、NPN、PNPトランジスタを使ったバイポーラ回路は、とても重要です。そのため、ここでは、トランジスタ回路の、設計について、基本的な事柄を勉強していきたいと思います。

今回は、よく使われるエミッタ接地回路の例を示し、基本的な内容をまとめていきます。










Contents:解説1、 エミッタ接地回路のカレントミラー負荷について

今回は、よく使うカレントミラー負荷のエミッタ接地回路について考えていきます。

エミッタ接地カレントミラー負荷
Fig.1 エミッタ接地回路
(カレントミラー負荷付き)


Fig.1に、エミッタ接地回路の負荷にカレントミラー回路を付けた回路を示します。前のページまでは、このカレントミラー負荷の変わりに、抵抗がついていました。では、動作的に何が変わるのでしょうか?基本的な動作は同じです。Vinにより、NPNトランジスタのVbeが変化し、エミッタ電流が変化します。そして、コレクタ電流が変化します。このコレクタ電流の変化分が、上側PNPのと出力インピーダンスと、下側NPNの出力インピーダンスにより、出力電圧に変換されます。これは、前のページの動作と同じです。一点違うのは、上側PNPの出力インピーダンスが必要になるということです。前のページでは、Voutにおける出力インピーダンスは、R//ro(npn)となっていましたが、今回は、負荷がPNPトランジスタがついているため、PNPトランジスタの出力インピーダンスは、NPNと同様に考え、ro(pnp)となります。

以上より、Fig.1の回路の出力インピーダンスは、

ro(pnp)//ro(npn)となります。




Contents:解説2、 エミッタ接地回路のカレントミラー負荷について

では実際に、この回路の伝達特性を考えてみましょう。この入出力特性を計算した結果を以下に示します。

gain = - gm(npn)・[ro(npn)//ro(pnp)]
Zin = rπ
Zo = ro(npn)//ro(pnp)

となります。


このような計算は、
システムLSIのためのアナログ集積回路設計技術〈上〉などで、
詳しく解説されています。








Contents:解説3、 エミッタ接地回路のカレントミラー負荷について

では次に、もう少し詳細をみていきます。

エミッタ接地カレントミラー負荷

Fig.1 エミッタ接地回路
(カレントミラー負荷付き)

1、入力インピーダンスについて
この回路の場合も、前のページの等価回路から分かるように、通常のエミッタ接地回路と同じく、入力インピーダンスはです。

2、出力インピーダンスについて
出力インピーダンスについて考えると、Vout端子からGNDまでの経路のは、2種類あり、NPNトランジスタ側のro(npn)と、PNPトランジスタ側から電源までの、AC的なインピーダンスro(pnp)です。これらは、並列になり、

Zout=ro(pnp)//ro(npn)となります。

3、ゲインについて
エミッタ接地回路のゲイン一般的なゲインはAv=-gm×Zとなります。これは、トランジスタによる電流変化×出力のインピーダンスという形です。今回の場合、カレントミラー回路(pnp側)とエミッタ接地回路(npn側)のインピーダンスはそれぞれro(pnp)とro(npn)となり、Voutノードで考えたインピーダンスは、それらを並列にしたものなので、以下のようになります。

Gain=-gm(npn)×[ro(pnp)//ro(npn)] です。

これは、非常にゲインが高い構成です。

上記のような回路の計算については、
システムLSIのためのアナログ集積回路設計技術〈上〉などで、
詳しく解説されています。




Contents:今回のポイント

以上今回は、エミッタ接地回路の負荷に、カレントミラーを付加した回路を考えてみましたが、 この回路は、オペアンプ回路など、さまざまな増幅器で用いられますので、非常に重要な回路です。動作のイメージをつかんでおきましょう。


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作者が過去、トランジスタ回路を勉強する場合に、一番役にたった書籍と、簡単にシミュレーションができるようになった書籍を紹介します。まだ読まれていない方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?






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